歯学博士の「歯」と「身体」のお話
食品による窒息事故について
摂食・嚥下動作(食べ物を口に入れてから胃に運ばれるまで)の中のいずれか一ヶ所でも故障すると、摂食・嚥下障害が起こります。
最初に食物が入る口腔は、食物に関する情報を捕らえ、噛み砕くための筋肉の運動をコントロールし、下顎運動により咀嚼が行われる重要な場です。
飲み込みは、歯と歯が噛み合うことででき、しっかりと噛み合わされていないと飲み込むことはできません。
減退期の高齢者の窒息事故者数は、平成18年以降、発達期の若年者における不慮の交通事故者数を上回ったそうです。
特に高齢者の窒息死が多い要因は、飲み込む力が弱くなるからとの事です。
食べる喜びをいつまでも持ち続けるためには、窒息の予防が重要です。
平成19年度の厚生労働省の発表によりますと、窒息の原因食品は、肉類・魚介類・果実類がおのおの9%、餅・米飯・パンが50%、菓子類・その他が30%だそうです。
最近よく問題視されているこんにゃくゼリーは、摂食例が少ないためか、2%だそうです。
次回は、窒息事故の予防及び応急処置に触れたいと思います。